東京ガスのCM打ち切りの謎
2014.6.30 669Views
皆さん、こんにちは。常見陽平です。
視聴者からのクレームが原因?CMが打ち切り
今朝、起床して書斎のPCを開けたら、こんなネットニュースが話題になっていました。
●批判が相次ぎ打ち切りになった東京ガスのCM「母からのエール」篇が胸に突き刺さる(EQLAIR)
この記事のタイトルが全てを物語っていますね。
数ヶ月前に話題になった、東京ガスの就活をテーマにしたCMが、批判が相次ぎ、打ち切りになったとのことです。
この記事では、肝心の打ち切りになった理由などが明確に示されていないのが、気になりましたけど。
このCMについて、賛成か反対かでいうと、私は、実は反対でした。
何か、こう、テンプレ化した就活批判になっていて、実は学生の気持ちを理解していないのではないか、と。
放送されていたのは、今年の初めだったので、まだここまで激しく落ちる時期ではなかったのではないか、と。
まあ、CMだからしょうがないのですけどね。
思い起こしてみると、ちゃんと批判記事を書いていました。
●「泣かせてやろう」「シェアしてください」というCMの下心が気持ち悪い 感動の前提がズレている(陽平ドットコム~試みの水平線~)
ぜひ、ご一読を。
就活生にとって大事な教訓「最終面接でも、落ちる」
ただ、このCMでリアルだなと思った点がないわけではありません。
それはまさにクライマックスの、手応えアリだと思った面接に落ちてしまうというシーンです。
いや、描写というよりは、この「最終面接でも、落ちる」という事実だけなのですけどね。
大学のキャリアセンターなどの声を聞くと、ここ数年、最終面接で落ちてしまう学生が増えたとか。
厳選採用になっていることを感じるエピソードであります。
ただ、厳選採用の流れもありますけど、最終面接は別の理由から、いくら頑張っても落ちる可能性があるものなのです。
面接がいくら上手でも、その人のプロフィールや能力・資質がいかに優れていても落ちる可能性があります。
なぜなら、全体のバランスが考慮されるからなのですね。
「このタイプの学生はもう足りている」「優秀だけど、今年のテーマと違う」なんていうことがありうるわけです。
人事視点で言うならば、このあたりは、このCMから学ぶことのできる教訓だと言えます。
気持ち悪い就活CMは他にもたくさんあるのだけど
CM打ち切り問題に関して言いたいのですが...。
就活生を馬鹿にしたような気持ち悪いCMは他にもいっぱいあるのですね。
それこそ、就職情報会社の雄、リクルートのリクナビやリクナビNEXTのCMは気持ち悪いと評判になりましたよね。
そこまで問題かと思うところは正直あります。まあ、これがガス会社のCMかというと?ですが。
東京ガスは、泣かせてやろうCMで人気を博してきたわけですが、ガスなんてものは必需品に近く、別にCMを流さなくても使うわけで。
やや企業CMが過剰になっていたとも言えなくはないですが。
個人が意見を表面することができる時代についてイエスかノーかというと、イエスなのですが、皆がクレーマー化し、何でも反対という世の中になっているなとも感じます。
好き嫌いは別にして、就活生が学ぶべきことは、このようにたとえ理不尽だと感じても、消費者に嫌われると、企業は方針を変えざるを得ないこともあるということです。
徒然なるままに書きました。
この件、学生の皆さんはどう思いました?
執筆者プロフィール
常見陽平@yoheitsunemi
評論家北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。