面接やESで魅力を伝えるには?事実と数字で語るべし

2013.1.25  3109Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です




「あなたはそのステーキの美味しさをどう表現しますか?」






すっかり人材系の人だと思われている私ですが、社会人生活の半分くらいは、マーケティング系の部署にいました。


「どうやったら商品・サービスが売れるか?(あるいは、そのためのお手伝いができるか)」を必死に考えていました。
何度か、ウェブの企画を担当したことがあります。
中でも、リクルート時代にじゃらんnetを担当したことは自分にとって忘れられない体験です。
じゃらんnetは、ユーザーにとっては宿泊予約サイトですが、宿にとっては予約代行サイトです。
じゃらんnetが観光客を連れてきてくれるわけです。


では、このサイトで、宿泊施設が効果を出すためのポイントは何でしょうか?
もちろん、元々の観光地や宿の人気などもありますが、魅力的なプランが並んでいるかどうかというのも一つのポイントでした。
このプランも、中身が良いかどうかもありますが、上手く魅力を表現できているかどうかがポイントなのですね。


さて、どうやったらユーザーにプランの魅力が伝わるのでしょう?
最初に言っておくと、「凄い」「豪華な」「素敵な」など形容詞を並べたところで、まったく魅力は伝わりません。
これらは所詮、宿が自分の都合で言っているだけです(まあ、比較検討するサイトなので、そもそもこれらの表現はふさわしくないのですが)。
魅力を伝えるためのポイントは事実と数字で表現する、これなんですね。


例えば、その宿で出すステーキが美味しいことをどう伝えますか?
「分厚くて柔らかくて美味しいステーキ」なんて風に表現したくなるのですが、先ほどの論理で言うならば、これはまだイマイチです。
分厚い、柔らかい、美味しい...。すべて主観じゃないですか。


その肉はどこの肉か、部位はどこか、厚さはどれくらいか、どんな焼き方をするのか、誰が焼くのか、どんな食器で出すのか、どこで食べるのか...。
これらは客観的な情報であり、比較検討しやすいです。


「神戸牛の希少部位のみを2センチの厚さでご提供。富士山の岩盤を活用して、フランスで10年修行したシェフが焼き、石垣島でとれた塩で味付けします」


これは、具体的ですし、客観的ですよね。


このように、物事は事実と数字で語ると伝わりやすいのです。






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面接官は、事実を確認したい








先日、東京商工会議所で中堅・中小企業の採用担当者向けのセミナーをしました。
その際に、現役就活生によるパネルディスカッションや、彼らと企業の採用担当者による模擬面接などを開いたのですが...。


模擬面接の際に、企業の採用担当者から学生向けにあったアドバイスは、「もっと事実で語って欲しい」というものでした。
「アルバイトをすごく頑張った」など、形容詞を連発されても、わかるようで、わからないのですね。
まあ、企業の採用担当者は漠然とした表現を学生が使った場合は、質問して聞き出すわけですが。


エントリーシート提出がぼちぼち始まりましたが、書くコツの一つはまさに、事実と数字を使って語ること、です。ついつい、形容詞を連発して、表現しきった気になってませんか?


事実と数字を使って語る前には、まず、これらの棚卸しが必要ですね。
大変そうですが、いったんこれに取り組むと、自分でもびっくりするほど、大人相手に話が伝わるようになりますよ。


いったん形容詞を使うのをお休みして、事実と数字で自分を語ってみましょう。








執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。