あのCMの仕掛け人エステー特命宣伝部長のすごいプレゼンを見てしまった

2012.9.14  1944Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。


いま、関西にいます。
毎年、楽しみにしている関西学院大学のキャリアゼミアドバンストというプログラムの講師をしています。
JR三田駅からクルマで約15分。山奥にある関学の千刈キャンプ場にいます。
関学で実施されているキャリアゼミプログラムを受講したことがある学生だけが参加出来るプログラムです。
3泊4日のプログラムは、自分史、マーケティングのワークシップあり、リーダーシップに関する英文の輪読ありと、かなり過酷です。
さらに、カレーライス対決、合唱コンクールなど無茶ぶり系のワークもあります。
でも、皆さん、実に熱心です。
残すところあと1日になりましたが、私も最後まで頑張りたいと思います。





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カリスマ宣伝部長と優秀学生がプレゼン対決...




今年のスペシャルゲストは、エステーの執行役宣伝部長兼クリエイティブ・ディレクターの鹿毛康司さんでした。
「消臭力」のCMの仕掛け人ですね。
以前もご紹介しましたが『愛されるアイデアのつくり方 』(WAVE出版)は胸が熱くなる良著ですので、ぜひ手にとってくださいね。


鹿毛さんの講演は何度か聞いているのですが...。
いやあ、今回も感動しましたね。
愛のある、仕事魂がひしひし伝わる講演でした。
2時間の講演の他、キャンプ場内のチャペルでキャンドルを囲みながら2時間45分にわたり、トークセッションでした。
学生さんも考えの甘さに気づいたり、プロとアマの違いに気づいたりと、得られるものも大きかったようです。


共有したいことはたくさんあるのですが、今日はその中で1点だけ(何度かにわけてお伝えしますね)。


実は、学生さんに、私の10月10日に発売される新作(新書であり、大御所著者との共著。中身と共著者はまだ内緒です)の販促プランを考えてもらいました。
学生さんに考えてもらっているときに、予定よりやや早く鹿毛さんが到着。
その様子をみて、開口一番こう言いました。
「おれもやっていい?」
なんと、鹿毛さんも参加。


そして...。
A4の紙に向かって、すごい勢いで企画書を書き始めたのでした...。




数字にこだわる、ストーリーで引き込む、あえてモノ申す




結論から言うと...。
もちろん、鹿毛さんの圧勝でした。
いや、学生のプレゼンも上手でしたよ、普通の学生並みから言うと、頑張った方だと思います。


ただ、大きく、次の点で違いました。




1.数字へのこだわり


これは、学生のプレゼンの最大の弱点です。


論拠にしろ、その企画による実現する目標にしろ、数字がまったく出て来ないのですよ。
これはいけません。説得力がまるで違います。


そういえば、だいぶ前に学生のビジネスコンテストの審査員に元マッキンゼー社員にきてもらったことがありましたが、まさにその点をバッサリ斬ってました。


「それでどれくらいのメリットがあるか。定量化できるかどうか。これが社会人と学生の違い」


鹿毛さんのプランでは...。
10万部を実現することを目標とするとのこと。
しかもいけそうでした。ドキドキ。




2.ストーリーが違う


もう1つはストーリーです。
プレゼン自体が引き込まれるようなストーリーになっています。


さらには、提案することも短期的なことではなく、中長期のことも含めてストーリーになっているのがポイントですね。
わかりやすいうえに、どの順番で何に取り組むのかが明確でした。




3.あえてモノ申す


さらには...。
これは学生には難易度が高いことですが、商品の弱点などについて、はっきりとモノ申すことですね。
「この部分は、弱いです」と。
ただ、言いっぱなしにするのではなく、それをどう補うかが明確でした。


そう、チヤホヤ、ペコペコされても信頼できないのですね。
むしろ、このようにモノ申してくれたらありがたいです。
もちろん、根拠と解決策、伝え方が大事ですが。


様々な場でプレゼンをする際も、エントリーシートなどで企画提案する際も参考にしてみてください。


しかし、鹿毛さんの企画&プレゼン、エネルギッシュでした。
面白すぎました。






普段の仕事ではこのようなものを何本も出して、比較検討するのですよね。
プロの仕事に圧倒されました。はい。


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。