「コピー取りでも、頭とハートを使う」ということに気づくこと

2012.7.13  1882Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。




入社1年目は仕事も研修も理不尽だ






「企業に入っても1年目はどうせパシリ。
せっかく大学入って、一生懸命就活して、これかよ...」


よく聞く入社1年目の社会人の愚痴です。
驚くべきことに、この愚痴は80年代の雑誌でも、私が社会に出た90年代後半、そして最近でも変わりません。
入社1年目はたしかに、担当する仕事も、作業に近かったりします。
「現場主義」という名の元に、仕事のムチャぶりや、理不尽な研修もいっぱいです。


私が社会人になった頃は、飛び込み営業研修などがまだありました。
1日100軒以上、法人に飛び込み、名刺交換をし、商談をするのです。
ポイント制になっていて新人同士で競い合いました。


「きっと、他の会社は洗練された研修をしているに違いない!」と思っていたのですが、大手電機メーカーに進んだ友人は工場研修や、販売実習がありました。


しかも数ヶ月に渡って、です。
当時も今も憧れ業界である出版社に進んだ人も、書店に派遣されて販売応援をしていたそうです。


実際の仕事でも、会議の準備、コピー取り、宴会の準備など、「これは私がするべき仕事なのか?」と悩むことばかり。


こんなことの繰り返しだと、さすがにやる気もなくなりますよね。




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単純作業を舐めてはいけない




一方で、これらの仕事は、意味がないことなのでしょうか?
決してそうではないと思います。


やはり、現場を体験するからこそ見えるもの、分かることはあります。
さらに言うならば...。
現場で行う、単純作業のようなこと、こなす仕事も頭とハートを使わなければならないのですよね...。


例えば、単純作業、パシリの典型だと言われるコピー取りですが、皆さん、上司に「会議のためにコピーをとっておいて」と言われたら、どうしますか?
そのまま、何も考えずにコピー機を動かしてしまう人は、社会人失格です。
まず、依頼主が何を期待しているのかを聞かなくてはなりません。


どんな会議なのか、誰が参加するのか、何を決めるのか...。
さらには納期がいつなのか、どれくらいのクオリティを求めているのか...。


これらを考えなくては、「わかってない」「気が利かない」と思われたりします。
時にはやり直しになってしまうことも。


実は先日、講義に来て頂いたゲストスピーカーの方が、その方の先輩から学んだエピソードとして同じ話をしていました。


「コピーとりは、深い」と。


会議の目的によって、ホチキスでとめるべきか、クリップにするべきか、片面か両面か、画質はどうするかなどが変わるのです。
コピー取りひとつとっても、頭とハートを使うものなのだ、と。


これからインターンシップに行く皆さんも多いことでしょう。
ぜひ、単純作業にも頭とハートを使うことにこだわって欲しいです。
また、インターン先の社員が、単純な仕事にどれだけ頭とハートを使っているのかも観察してみましょう。


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。