日本の気になる教育問題 あと一歩、自分の頭で考えてみよう

2012.7. 5  1140Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。




日本の教育の問題って?




今週の『週刊東洋経済』の特集は「東京大学」です。




売れるんですよねえ、こういう学歴ネタ特集。
まだ読んでいないので中身に対しての批評はしませんが。
日々、日本の教育問題がメディアでは語られています。


さて、皆さんは「日本の教育問題」と聞いたときに...。
実際、何が問題だと思いますか?


学力の低下、語学力の向上、グローバル人材の育成など、人により様々な問題をあげることでしょう。
私も教育問題には強い関心を持っています。自分自身が教育者の端くれですし。


中でも私が関心があることの1つは、高校までの「答えを覚える」勉強と、大学からの「自分で問いを立てて、答えを出す」勉強のギャップについてです。


高校までは、答えを教える、出すための勉強でした。
英単語も構文も、数学の公式も問答無用で覚えなければいけないですし、論述式の問題はともかく、求められる答えはほぼ一緒でした。
「大学全入時代」と言われるようになったものの、とはいえ、有名大学を目指す場合や、進学校に通っている場合、受験勉強は過酷です。
全国模試の成績で出される順位や合格判定で一喜一憂します。


これに対して、大学の勉強はどうでしょうか。


答えのない問題に対して、自ら仮説を立て、考え、自分なりの答えを出すこと。
新たな知を生み出すこと。


これが大学での勉強です。実際は教科書を覚えるだけの科目もありますけどね。


小学校から高校までは、徐々に難易度が上がり、自然な変化をしていたわけですが、大学の勉強との差はギャップが大きすぎます。
高校までと、大学からの変化が大きいことは、日本の大きな教育問題であると認識しているのですが、一学生はそんなことは関係なく、学生生活に飲み込まれていきます。


自ら考えられる人材を求むなんて言ったところで、そんな人材は真面目に勉強をさせてもなかなか育たないのではないでしょうか。




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考えるクセをつけよう




さて。日々、大学で講義や講演をしているわけですが...。
大学生を前に講演する生活をもう7年くらい送っていますし、凄まじい回数講演をしているのですが...。


年々「答えを求める」傾向がより顕著になってきていると感じます。


昨年くらいからなのですが、「ビジネス誌を読むように」と言ったら、「ダイヤモンドと東洋経済と日経ビジネスならどれですか?」など、より具体的な答えを求められる機会が増えました。


昨日も、古巣ネクスウェイ(私の最初の配属先である旧リクルートFNX事業部)の社員に白百合女子大学での講義にゲストで来て頂いたのですが、社員さんが学生時代に社会人とよく会っていたと言うと、「どうやったら会えるのか?」という質問になり。
気持ちはよく分かるのですが、ここで自ら考えられる人とそうじゃない人の差は大きいと思うのですよね。


もちろん、これまた伝え方が難しいもので、人に聞くのが恥ずかしいから抱え込んでしまう人もいるわけで、それもまた問題なのですが。


いきなり変わることは難しいのですが、「本当はどうなんだろう?」「どうすれば実現できるんだろう?」立ち止まってこう考えるクセ、大事ですね。


これはまさに会社に入ってからもそうで、特に営業の仕事では、顧客について「なぜ、現状はこうなのか?」と考えるクセが大事になってくるわけです。


立ち止まって考えるクセ、今からつけておきましょう。


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。