「20代の女性」はいない!?もう一歩、前のめりで考えてみよう

2012.7.11  1786Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。




私が他人のプレゼンにうんざりするワケ




突然ですが、皆さん、世の中は「寒い企画」でいっぱいだと思いませんか?
何かこう、感動がなくて、役にも立たなくて、うんざりする企画ばかりだと思いませんか?


「たしかに、最近のテレビはつまらない。オワコンだ」
「そうだそうだ。旧態依然とした企画から脱却すべき!」


そんな声がネットにも溢れています。
でも...。
そういう人が考える企画もまた寒かったりするのですよね。


仕事柄、学生が作った企画書を読んだり、プレゼンテーションを聞く機会がよくあります。
新卒採用のエントリーシートにも、企画提案をまとめるものがありますよね。
そんなエントリーシートをたまに見たりもします。


学生に限らず、各社の若手社員がつくる企画に目を通すことがよくあります。
それこそ、毎日3000本の記事に目を通しているので、若手ブロガーの新企画や、これからのソーシャルデザインに関するエントリーを読んだりもします。


自分がオジサンになったからかもしれませんが、たいてい寒いのですよね...。


「若者に完璧を求めるな!」


そんなお叱りを受けそうですね。分かります。


いや、別に若者に完璧であることを求めるつもりはありません。
若者ならではの視点で、現状を認識していないことが問題です。
もちろん、企画として成立するものになっていないことがなにより問題なのですが...。


特にターゲット、マーケットを正しく捉えていないことが気になりますねえ。


例えば、よく若い人がプレゼンで使う言葉で次のようなものがあります。


「20代の女性がターゲットです」


私はいつも、この言葉が出た段階で、その人を素人認定しています。
なぜか?


それは、「20代の女性」という人は、一人もいないからです(ちなみに、これはリクルートにいた頃に、大先輩くらたまなぶさんのセミナーで学んだことです)。


なぜでしょうか?
いや、突っ込みどころはいっぱいですよ。
年齢や性別だけでは行動・嗜好は特定できません。
職業、年収、学歴、居住形態、誰と住んでいるか、結婚しているかなど、行動パターンに影響を及ぼす可能性のあるプロフィール情報はいっぱいあります。


また、20代だと言いますけど、1歳ごとに行動パターンは違ってくる可能性があるわけです。
例えば、20歳の時と21歳の時でもだいぶ違いませんか?


個々人でこだわるポイントがあるわけですし、さらに言うならば、人間は「多重人格」で、何をするか、誰とするか、目的は何かなどによっても行動パターンは違います。


さらに...。
仮に「21歳の首都圏の中堅私大に自宅から通っている女子学生で彼氏がいて、インカレサークルに入っていて、飲食バイトで5万円稼いでいる人」と、具体的に定義したところで、その人に対する「思い込み」から企画を立てていることがよくあります。


若い人に期待しているのは、生活者に対するリアルな感覚なのに、そこを押さえられていない。なかなか悲しいことです。




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リアルな生活者を見てみよう




これからインターンシップ(およびその選考)において、企画提案などをする機会が増えることでしょう。
その際にぜひ、生活者のリアルを追うことにこだわってください。


学生時代から取り組めるいくつかのコツをお伝えしましょう。




●生活者を観察しよう


電車の中、売り場、カフェなどで生活者を観察してみましょう(あまりやるとストーカーみたいですが)。
それこそ、ファッションから会話の内容から、読んでいる本まで。
売り場だと、どんな風にまわっているかをみるといいでしょう。




●情報のシャワーを浴びよう


ターゲットとする生活者がアクセスしている情報源、あるいは彼ら彼女たちのことを描いた情報源をチェックしましょう。
これは様々な角度から見るといいです。
特に自分では読みもしないものなどもチェックしてみることをおすすめします。
社会に出てからは自分が買いもしないものを企画したり、営業したりすることがよくあるわけで...。




●データを見るクセをつける


官庁や各種研究機関が発表する白書、調査結果などの元データに目を通してみましょう。
毎年、少しずつ変化しています。


日常的に習慣的に行うと、あなたの情報感度、生活者に対するセンスはアップすることでしょう。
実際に企画を立てる際は、ターゲットとなる人(あるいはならない人)に深くインタビューをする、その人をひたすら観察するなどの手もありますし、ネットを深く検索する手もありますけどね。






企画のセンスを鍛えると人生は楽しくなります。
インターンシップを機会に、鍛えておきますかね。




執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。