「就活」は「共通言語」ではない?

2012.6.15  1616Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。


突然ですが、皆さんに問いかけたいことがあります。
それは「就活」は「共通言語」なのか?ということです。


今回はこのテーマについて考えてみましょう。





「就活」と言っても色々ある




「就活」はメディアにとって実に便利なネタで、いつも東京ビッグサイトなどにリクルートスーツの学生が詰めかける様子が描かれます。
苦労している学生の声が伝えられ、日本の新卒一括採用はけしからん、就活は大変だという話になります。


これもまた事実であり、今、そこにある社会問題なのですが、果たしてこれだけが日本の就活でしょうか?
また、本当はどれくらい大変なのでしょうか?


データやファクトを読み返してみると、「画一的な就活」と批判される日本の就活も実に多様だということに気づきます。




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就活格差が止まらない?




2013年採用はまだまだ継続中です。
マイナビが6月12日に発表した「2013年卒マイナビ学生就職モニター調査 5月の活動状況」によると、3割強の学生が内定先を決めて就活を終えています。
逆に言うと多くの学生はまだ継続中です。


では、内定しているのはどんな学生なのでしょうか?


HRプロ株式会社が今週の「HRサミット2012」で発表したデータを元に考えてみます。
時期もデータの取り方も違うので単純比較できませんが、4月末時点において、内定率は全体では40%強。
ただ、旧帝大クラスと早慶クラスは約7割だったのに対し、上位国立大、私大クラスは約5割、その他国立大、中堅私大クラスは約3割でした。
中でも旧帝大クラスと早慶クラスは震災があった昨年よりも10ポイント以上アップする一方で、その他国立大、中堅私大クラスは5ポイントから10ポイントダウンしています。


この時期に内定を出しているのは大手企業が中心であり、第一弾の日程ではありますが、結局、学歴順に決まっているのではないかと感じる次第であります。


先日もお伝えした、パネルディスカッションに参加した学生も、みなさんインターンシップには参加していたものの、学業や自分の打ち込みたいことに集中するために、就活を本格的に始めた時期は普通に12月でしたし、中には学業に集中するために中断した学生もいました。
でも、あっという間に内定が出ていました。
一定期間は就活漬けだったようですが、その後はすっかり学生生活を謳歌しています。


でも...。


結局、普通の真面目な学生が一番かわいそうなんですよね...。
ずっと長く続く、という。


「就活」と言っても、見えている光景は実に様々です。
一見みんなが「共通言語」だと思っている就活が実に多様であるという話を、今後、シリーズでお届けしていきます。


お楽しみに。


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。