採用活動からわかる、ブラック企業の見分け方

2012.3.29  37332Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。




先日、文化系トークラジオLifeに出演しました。
前から出たかった番組なのです。
そうそうたる顔ぶれの末席に加えて頂き、「理想の職場」をテーマに議論しました。
夜中の1時から朝の4時、さらに番外編で5時くらいまでずっとでした。
そのまま大阪出張に出かけ、死にそうになりました。
でも、疲れをまったく感じないくらい、充実したひとときでした。
USTREAMのアーカイブが残っていますし、ポッドキャストでも少しずつ配信されておりますので、ぜひチェックしてみてください。


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ブラック企業って、何なの?




その中でも、「ブラック企業」が話題になりました。
実際、「ブラック企業」や「ブラック部署」に勤務していた方が多数出演。
私も、3時まで働き6時に家を出る日々や22日連続出勤など「ブラックな働き方」を経験しており、話は盛り上がりを見せました(このネタで盛り上がるのもなんなのですが)。


これだけブラック企業批判が巻き起こっていても、彼らは今日もどこかで従業員を苦しめています。
どうやったら彼らを撲滅できるのでしょうか?




ブラック企業度は法令遵守×きつさで考える




ここでブラック企業の定義をしておきましょう。
この言葉、やや膨張していて、「ノリが体育会系で営業をゴリゴリやる企業」「上下関係が厳しくて、人に対する言葉も荒っぽい企業」などもそう認識されているように感じます。


私はブラック企業というのは「法律を守っているか」×「きつさ(労働環境、仕事のきつさなど)」の掛け算でブラック度が決まると解釈しています。
例えば、人間関係が良好で職場の雰囲気がよくても、サービス残業が慢性化している企業は十分ブラックだと言えます。
逆に前述した仕事が大変な企業というのは、法律を遵守していたら真性ブラック企業というわけでもありません。


もっとも、人に対する当たり方がパワハラ気味になっては問題ですが。
真性ブラックだとは言えないものの、これがまともな働き方かどうかは考えるべき問題です。




採用活動で注意したいブラック企業シグナル


では、ブラック企業かどうかを見破る方法はあるのでしょうか。
いくつかのヒントはあります。
まぁ、これらのシグナルがあるからと言ってイコール即ブラック企業というわけではないのですが、ご参考まで。




1.不自然な大量採用を行なっている


事業拡大のためなど明確な理由があればいいのですが...。
人の出入りが激しいからということも。


ここで注目したいのは、企業のことを調べる際には新卒の求人広告だけでなく、リクナビNEXT、DODAなど中途の求人広告も見ておくといいでしょう。
中途(特に若手層)を激しく募集している企業などは要注意です。


もう一つ、意識したいことがあります。
この大量採用はもちろん、事業拡大、成長のためという健全な理由ということもあるわけですが、そのような企業はマネジメントが混乱しがちです。
急成長のため、組織にまとまりがないということも。
もちろん、それを楽しもうという気概で入社するのもアリなのですが。
覚えておきましょう。




2.給料のことをやたらと訴求している


これ、新卒の求人広告ではあまり訴求されないポイントなのですよね。
お金のことをうたっている企業はよく読むと、成果主義の賃金体系が徹底されていて、要するに成績が良い人はそれだけのお金をもらえる可能性があると言っているだけだったりするのですよね。
ここも中途の求人広告を一緒に見てみると参考になるでしょう。




3.居心地が悪いオフィス


人材系で有名な大手ブラック企業があるのですけど、この会社ではあえて営業所の席を狭くし、居心地の悪い環境にすることにより社員がどんどん外に営業に出かけることを促しているとか。


オフィスが狭いことはともかく、汚い(これは古いこととイコールではありません)場合は職場管理ができておらず荒んでいるということも。
職場としても快適だとは言えません。


一方、そんな不信感を抱かせないために、やたらとオフィスにお金をかける...。
これもまたブラック企業にありがちなことなんですが。




4.業務内容がよくわからない


結局、どんな仕事をするのか、なぜ儲かっているのかがわからない。
こうやって業務内容を隠す、ぼかすのもよくある取り組みですね...。




5.ビジョンが不明確


特に漠然と「夢」「感動」「成長」をうたう企業は、それってどういうことなのと疑ってみると良いでしょう。




6.採用活動に社長しか出てこない


まぁ、ベンチャーはそういうものですけど。
社員の顔が見えない企業は要注意です。




7.やたらと早く内定を出す


これも多いパターンですね。
自分のどこを評価したのかがよくわからない企業は要注意です。




この他にもネットのクチコミなども参考になるといえばなります。
特に急成長している企業はやや採用活動が雑になっていることや、組織が混乱していることもあり、悪いクチコミが起こりやすいのですけどね。


もちろん、ブラック企業というのはなかなか巧妙なもので、採用活動だけでは見抜けません。
さらには、優良企業の中にもブラック部署、ブラック上司はいますからね。


こちらのエントリーもご参照ください。
『ブラック企業に負けない』むしろ、入ってしまった後が大事


最近、私の旬なキーワードは「まともな働き方」です。
ブラック企業に限らず、人生は仕事だけではありません。
ただ、ホワイト企業に、正規雇用で入ったとしても過労状態が前提となってしまうのはどうかと思うのですね。


なお、この件につきましてはNPO法人POSSEの事務局長川村遼平さんのインタビューが激アツなので、ご覧ください。

過労状態を前提としない働き方を目指せ―NPO法人POSSE事務局長、川村遼平氏インタビュー(BLOGOS)


まともな働き方、意識しましょう。

執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。