高校生の悩みは就活?結婚?立命館慶祥中学校・高等学校でのQ&A

2012.2. 8  1780Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。




地元の中高生の前で講演しました




先日、札幌(厳密には江別市ですが)の立命館慶祥中学校・高等学校で講演しました。
名前の通り、立命館系の学校です。
半分は立命館大学に内部推薦で進むとか。中高一貫校は札幌では珍しいですね。


昨年『札幌市民のための16歳からのキャリア論 (HS/エイチエス) 』を発表したのですが、朝日新聞の地元版に書評が載り、それがきっかけで講演依頼があったのです。
まさに、札幌の若者を前に講演したかったので感激でした。


おじゃました立命館慶祥中学校・高等学校は、素敵な校舎で、素晴らしく設備が整っていました。
横断幕まで出して頂き、感激です。
私の高校で教えていた先生もいらっしゃって、再会に感激したりしました。
中学・高校の同級生の旦那さんもいましたよ。
年賀状のやりとりをずっとしていたのですが、お会いできて嬉しかったです。


講演の内容は私の個人ブログにまとめましたので、ご覧ください。


その際に、質問をたくさん頂きました。
30分くらい ずっとでしたね。


就活、結婚などに関する質問が多く、びっくりしました。
講演したのが私だというのもあるのですが。
今日はその時に頂いた質問と、私の答を掲載しますね。
あくまで私の意見として聞いてください。一部は加筆、補足しています。




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Q.大学に行くことに疑問。やっぱり大学に行った方がいいですか?




結論から言うと、行った方がいいです。
今の日本の社会は構造的に高卒の方にはとても厳しい世の中になっています。
高卒の就職事情はあまり報じられませんが、大卒以上に厳しいと言っていいでしょう。
構造的な就職難なんです。
高卒ホワイトカラーは、大卒シフトにより減りましたし、工場の海外移転によりものづくり人材の求人も厳しいです。


とはいえ、今の大学が素晴らしいものかというと、そうではありません。
大学は入りやすく、出やすいものになってますし、大学の機能はラベリングだけじゃないかという議論もあります。
中の教育の質が保証されているかというと、そういう取り組みもありますが、実態は形骸化しています。


おっしゃるとおり、目的を持たずに大学に行くのは危険ですし、お金ももったいないです。
でも、行ってから意味を見出してもいいのではないかと思います。




Q.結婚はした方がいいですか?




いいと思いますよ。結婚はいいものですよ。
自分の居場所があるというか。
今の10代~30代は居場所難民なのです。
学校に行っていても、会社に入っても居場所が約束されるわけではありません。
そういえば、便所飯って知ってます?
学生食堂で一人でいるのが辛いから、一人ぼっちでいる様子を見られたくないから便所でご飯を食べるのです。
都市伝説かと思いきや、実際、あるんですよね...。


私はベンチャー企業に勤め、大学で非常勤講師をし、物書きをしています。
孤独な仕事ですよ。特に物書きの仕事は、売れたら批判され、売れなかったら批判されるという仕事です。
安らぐことができる家庭がある。


これは素晴らしいことです。
そうするためには互いに努力することも大事なのですけどね。




Q.常見さんにとって働くって何ですか?




そうですね、今は「世の中変えるため」に働いていますね。
これは30代半ばから変化したことです。
日本におけ る若年層の雇用、大学の教育に関する問題意識が高まっていったのです。
「これは、世の中を変えるのか?」そういう基準で働くようになりました。
思えば、20代も頑張って働いていましたものの、今振り返るとあの頃は自分のためだけに働いていたように思います。


実際、変えた手応えは少しはあります。
例えば、日本の就活は問題だという議論がここまで盛り上がったのには、自分は少しくらいはきっと影響を与えていると思います。
また、私は人事担当者時代に人気企業ランキングに振り回され、物書きになってからは一貫して自分の著書やメディアでの発言を通じて批判を続けてきました。
昨年からリクルートは人気企業ランキングを発表することをやめました。
何ミリかは私の声が届いたのかと思っています。


働く意味というのは、教科書的には2つあると思います。


1つは食べていくため。日々の糧を得るためです。
お金がないと食べていくことはできません。


2つめは喜びのためです。
成長した、みんなで働けるのが楽しい、お客様に感謝された、などの喜びを得るためです。
私自身、今の仕事を楽しんでいますが、一方、マンションやクルマのローンを返すため、子供ができたときの教育費を貯金するためという理由でも働いています。
人生にはライフワークとライスワークが必要です。
人生でなしとげたいことと、食べていくための仕事です。このバランスが難しいんですけどね。




Q.大学でスポーツを続けるか悩んでいます。両立は無理ですよね?


たしかに厳しいと思いますよ。
立命館の体育会はプロを輩出するくらいのレベルですからね。


ただ、今から両立できないと決め付けるのはよくないと思いますよ。
体育会出身の学者も多数います。
私の大学時代のフランス語の先生、海老坂武先生は日本を代表するサルトル研究家なのですが、東大時代は野球部だったそうです。
立教のサード長嶋の横を抜けるヒットを打ったことはささやかな自慢らしいですよ。




Q.挫折をしないにはどうすればいいですか?




その発想から早く卒業できるといいですね。


負けることで成長するんですよ。
勝つまで続ければ、負けになりません。
挫折は常に自分を強くします。挫折することを恐れないでください。




Q.異なる意見が両方よく聞こえます。ブレない軸を持つにはどうすれば?




まだ17歳でしょ?しかたないですよ。


私も20代の頃はそうでしたよ。
ブレない軸を持てと大人は誰でも言いますが、そう言う大人だってブレまくりですよ。
一見するとブレてないように見える経営者や評論家だって、本当は「どうしようかなー」と悩んでいます。


大事なのは3つです。


1つは「本当かな?」と思うクセ。
それぞれの論拠を確認してみましょう。


2つ目は、メリットを考えることです。
その案は誰が、どう嬉しいのか?これを考えます。


3つ目は自分はどう思うかと考えるクセをつけることですね。




Q.夢が見つからないのですが...




あのね、夢なんてそうそう見つかりませんよ。


だから、見つかった時、そしてかなったときに嬉しいのだと思います。
心がけることがあるとしたならば、好奇心旺盛であること、まずは目の前のことを一生懸命やることですかね。
そして、夢をかなえたいなら、具体的に考えて、締め切りを設けて、続けることですね。


私の場合、幼少期から「物書きになりたい」と思っていました。
だから、いっぱい本を読み、いろんな場で書き続けてきました。
私は今、1日最低5000字書き、1日最低2000本の記事に目を通しています。
さらりと見るだけですけどね。
私の夢は世界をうならせる若年層の雇用・労働関連の論文を書くこと、また文学において芥川賞を取ることです。
馬鹿みたいでしょ?
でも、きっとできると信じています。


夢が叶うのは、誰かのおかげじゃないんですよ。
信じること、続けることです。










しかし、悩みってどの世代でも変わりませんね。


そうそう、このコラムでも皆さんからの相談をお待ちしております。
コメントお待ちしております。


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。