経団連会長、本当に「このぐらい忙しくてもいい」ですか?まず、1月の修羅場を乗り切ろう
2012.1. 6 585Views
みなさん、こんにちは。常見陽平です。
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
経団連会長は「このぐらい忙しくてもいい」と言うけれど
あまり話題にならなかったのですが、昨年の12月20日の朝日新聞にこんな記事が掲載されていました。
◆「会社説明会、12年も12月解禁」(asahi.com)
内容を要約すると、2013年度より大きく改定となった倫理憲章は、2014年度も同じ方向でいくということです。
検証には時間がかかるとも。
現在の就活について「このぐらい忙しくてもいい」との経団連会長のコメントも。
皆さんはどう思われますか?
少しだけ頭に入れておきたいのは、政治家や経営者のスキャンダル報道でよくあるパターンで、その言葉だけが切り取られ、文脈やニュアンスが無視されて報道されることです。
その点は考慮して判断するべきでしょう。
とはいえ、この発言については意見が分かれるところでしょうね。
実際どれくらい忙しいかは学生により2極化していますね。
就職情報会社の方に速報データをこっそり聞いたのですが、「参考にならない」とのこと。
昨年と時期がずれているだけでなく、あまりに2極化していて平均値をみても意味がない状態だそうです。
まぁ、予想通りですけど。
忙しい人はかなりのレベルで忙しく、そうでない人はゆっくりというわけです。
就活の早期化・長期化とそれによる学業阻害が問題となり、今回のような見直しになったわけですけど、短期化というのもバタバタするものですね。
まぁ、実際、短期で決まるのは約45万人いると言われている就活生の中では一部なのですけど。
倫理憲章にサインした企業が学業についての質問をしてこない場合、皆さんは怒った方がいいですよ。
まぁ、採用担当者は各大学や学業のことには詳しくなく、取り組み姿勢くらいしか聞けないわけですし、ましてや成績についてはほぼ聞きません。
聞いたところで、大学の成績のつけかたが公平、公正かというとそうじゃないですしね。
学生もたいていの学生はAや優を取るためではなく、単位をとるために勉強しているわけですが。
これも大事な論点です。はい。
テストと就活の両立をどうするか?
経団連が作成した、「採用選考に関する企業の倫理憲章」にはこうあります。
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2.正常な学校教育と学習環境の確保
在学全期間を通して知性、能力と人格を磨き、社会に貢献できる人材を育成、輩出する高等教育の趣旨を踏まえ、採用選考活動にあたっては、正常な学校教育と学習環境の確保に協力し、大学等の学事日程を尊重する。
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ここに「学事日程を尊重する」とありますが、12月にスタートだと、すぐに期末試験、入試になるわけですよ。
実は今年の学生にとって最初の修羅場はこの1月です。
合同企業説明会も企業説明会もいっぱい。企業によってはエントリーシートの発表も始まりました。
選考について具体的に相談してくる学生も増えましたねえ。
「これくらい忙しくてもいい」と言われたところで、学生は試験を受けなくてはいけませんし、エントリーシートを書かなくては選考の土俵にすら上がれないのが現実です。
学生にとっては勉強も就活もやらざるを得ないわけです。
このコラムでもずっと書いてきましたが、「可処分時間(自分の使える時間)」を確認すること、何にどれだけ時間をかけるか決めること(時間をかければ良いものができるとは限りません、制約が質を上げる場合もあるのです)、やりくりが大事ですね。
まずは1月の手帳を「読み」ましょう。
やや矛盾するようですが、学生に言いたいのは、「単位くらいとりなさい」ということです。
いや、まだ3年生は挽回が可能ですが、いるんですよ4年生で。
卒業間際に2単位足りなくなり、留年決定。内定も辞退せざるを得ないという。
人事も泣かざるを得ませんよ。単位の計算や、どうやったら単位が取れるかくらい考えましょうね。
って、転学部を経験し、厳しいゼミに入ったため、大学3年で単位がとれず、4年の最後まで単位を追っていた私が言ってもあまり説得力がないですが。
就活が学業を阻害すると言いますが、私の場合はゼミが忙しすぎて、他の講義に出ることも、サークルもアルバイトも、さらには就活も阻害していました。
なかには、キャリアセンターに相談し、教授に圧力をかけて単位をとった強者もいたりしますが。
今年の就活生は、歴史の生き証人です。
大人が騒いでもしょうがありません。企業に期待することをちゃんと発信しましょうね。
執筆者プロフィール
常見陽平@yoheitsunemi
評論家北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。