「日経読んでる?」ってまずくないか?面接でのNG質問とは

2012.1.12  12173Views

こんにちは。常見陽平です。




面接で「日経読んでる?」ってまずくないか?




ある日、リビングでカンブリア宮殿を見ていたときのことです。
いつもなんとなく聞き流していた、日本経済新聞社のCMが妙に気になりました。


「面接で"日経読んでる?"と聞かれた」というセリフのものです(正確な言い回しはややうろ覚えです、すみません)。


「これ・・・まずくないか?」


そう感じたのです。
というのも、購読紙について、質問するのは面接の流儀としてNGだと考えられるからです。


学生の皆さんはご存知ないかもしれませんが、実は面接では聞いてはいけない質問というものがあります。
厚生労働省では、公正な採用選考のために、チェックポイントを掲げています。


これは本文にあるとおり、「ご協力をお願い」しているものであり、罰則規定があるわけではないですが、採用担当者は意識しています(もっとも、他の法律に抵触するとNGなのですが)。
各都道府県の労働局のページにも記載されています。
例えば、大阪府のページはこうなっています。


これを見ると、実は聞いてはいけない質問が多数あることに気づきます。
中には、「えっ、これもNGなの?」というものもあるかと思います。
例えば、次のような質問はNGです。


◆家族構成や家族の資産、親の職業など
「ご家族の構成は?」
「実家は持ち家なの?賃貸なの?」
「お父様はどんなお仕事なのですか?」という、"本人に責任のない事項"を聞くことはNGなわけですね。


◆本籍地など
「本籍はどこなの?」という質問はNGです。


◆支持政党、宗教など思想信条に関するもの
「この前の選挙はどこの政党にいれましたか?」という質問はNGですね。
また、購読紙、愛読書、人生観などは思想信条が反映されやすいものであるため、聞いてはいけないのです。


◆セクハラ的質問
「結婚したら会社は辞めるつもり?」
「彼氏いる?いない歴はどれくらい?」
「スタイルいいね。スリーサイズは?」
なんて質問はセクハラです。絶対に聞いてはいけません。


セクハラではないですが、改正男女雇用機会均等法の観点から言うと、次のような質問も好ましくありません。
「男性だから残業も平気ですよね?」
「女性らしさを活かせそうな職場だと思いません?」


本人のスキルや適性に関係のないことや、本来自由であるべきこと、
男性・女性で区別(差別)してしまうことは公正な採用に反してしまうので、これらの質問はすべきでないとされています。



このように面接にはふさわしくない質問があることを覚えておいてください。




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企業がNG質問をするためのテクニックとは?




とはいえ、学生の皆さんの中にはこのような質問をされた人もいることでしょう。
何の遠慮もなく聞かれるケースもあれば、「ダメだとは知っているのだけど、あえて聞くよ」という前置きをされて質問されることも。
先ほどあげた中でも特に聞きたいのは、親に関することですね。
面接官にとって、どんな親のもとで育ったのか、親は就職についてどう思っているのか、親との関係性などは知りたいところなのです。
ですので、面接官は規定は頭に入れつつも、聞きだす工夫をしてきます。


魔法の質問があります。
それは「就活の件って、誰に相談しているの?」です。
今や、7割以上の就活生にとって就活の相談相手は親だと言われているので、たいてい親の話になるのです。
こちらから質問するのではなく、勝手に話してもらうというわけです。
規定に抵触しないカタチで、聞いてしまう方法ですね。


ちなみに、この質問は親を始めとする、就活のキーマンを聞き出す質問として有効なのです。
例えば、親以外でも「ゼミの仲間と相談している」となると要注意です。
ゼミの中にはみんな大手に行くゼミ、その中でも金融機関に行くゼミなどがあります。
本人がベンチャーを志望していて、行く気まんまんになっていて、内定したときに、ゼミの仲間の内定先や、意見を聞いて考えがぶれるなんてことがあるのです。


面接テクニックも、色々ありますね。




このCMはNGなのか?




この件をツイートしたら大反響で、実に300RTをこえ、お気に入り登録も200近くになりました。
あまりの反響にびっくりです。
共感する声、明らかに違反で問題だという声もあれば、考えすぎではないか、ニュアンスによるのではないかなどの声も。


私のツイートも断定ではなく、あくまで疑問だしというか、問題提起なのですが。
とはいえこの件で日経さんにご迷惑をおかけしてもと思い、何より本当のことを知りたいので、厚労省の職業安定局就労支援室に問い合わせをしたところ、こんなコメントを頂きました。


「好ましい質問であるとは言えません。ただ、情報感度を問う質問とも言えるので。ニュアンス、解釈によりますね」(厚生労働省 職業安定局就労支援室 ご担当者)


うん、白に近いグレーといったところでしょうかね?


まぁ、いずれにせよ、こんな質問はしてはダメということについて、学生も人事も意識することは大事だと思います。
ご参考まで。


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。