これから伸びる業界とは?会社に期待しすぎないという覚悟
2011.11.15 13688Views
皆さん、こんにちは。常見陽平です。
今日は、俗に言う「いい会社」「伸びる業界、安定している業界」に関して考えてみました。
徒然エントリーです。
「会社に期待しすぎない」という覚悟
ある企業の企画で、就活生が疑問に思うことに答えるというものがありました。その中にこんな趣旨の質問がありました。
「定年まで働けて、社宅に住めて、家賃がかからない会社はありますか」
というものでした。
はぁ...。そんな会社があったら、教えてもらいたいですね。
たしかに、そんな人生を送ることができた人はいることはいました。
リストラもなく、定年まで勤め上げることができる、と。
日本は人を解雇するのがなかなか大変な国ですし。
ずっと社宅にお世話になる件についても、です。
社宅は実は安いのはたしかなのですが、「タダ」というのはなかなかないものです。
いや、もっとも、転勤などをした場合の家賃補助があり、実質タダということはあるのですけど。
厳密には社宅も年次や役職によって入れたり、入れなかったりするわけなんですけど。
先日、上野千鶴子先生と古市憲寿先生の公開対談を観に行った際にも、上野千鶴子先生がおっしゃっていました。
「最も幸せな人は今、70代の人。戦争で出征したわけではないし、世の中が右肩上がりの中、引退でき、年金ももらえる」と。
世代別幸福度が最も高いのも70代なのですよね。
一方、「定年まで働けて、社宅に住めて、家賃がかからない会社」を今から見抜くのは、なかなか難易度が高いですよね。
いまある福利厚生が、ずっと約束されるかどうかはわかりません。
いや、ぶっちゃけ、私なんかも以前の会社に入社して半年で、勤務先の「社宅、社員寮、住宅手当など福利厚生見直しへ」というニュースを通勤中に新聞で読み、「え!?」と思ったわけですよ。
えぇ。いや、ちょうど一人暮らしをやめ寮に入ろうと決めた後で、何か神がかったものを感じたわけですけど。
厳密にはすぐに廃止ではなく、2年後にそうなったわけですが。
とはいえ、「福利厚生なんて気にするな。実力で勝負しろ」などとキレイゴトを言う気にもなれません。
ぶっちゃけ、メガバンク勤務の友人が新潟に転勤した際に、「市内にある3LDKの社宅に2万円で住んでいる」と聞いたときには、ため息が出たものです。
まぁ、説明会や面接で福利厚生のことばかり質問してくるんだけどイマイチ仕事ができそうに見えない学生を、企業はまったく採りたいと思わないんですけどね。
「旬な業界・企業はすぐ変わる」という先輩からのアドバイス
もう1つ思い出したことがあります。
どの業界・企業に行くべきなのかということですねえ。
これ、私が就活をしていた15年前も今もある課題なのですけど...。大企業かベンチャーかという議論は、よくあることなわけです。
パソコン通信のBBS(当時はまだインターネットが出始めで、それこそNIFTY-ServeなどでのBBSを使っている人はいました)の大学コミュニティで、
「ウチの大学の学生は旧態依然とした業界にしか行かない。どうしたものか?なぜ、旬な業界・企業に行かないのか?」
と問題提起したところ、大手電機メーカーに勤める方から
「だって、旬な業界・企業はすぐ変わる。旬ってそういうもんだもん」
という先輩からのレスを頂きました。
当時は、腹に落ちなかったものの、今ならわかる気がします。
まぁ、業界・企業研究の基本のキですが...。
業界にも企業にも産業としてのステージというものがあるわけですよ。
黎明期・成長期・成熟期・衰退期に分かれるわけです。どのステージなのかは意識したいですね。
もっとも、衰退期であっても圧倒的なシェア、独自のポジショニングを取ることにより、生き残る企業もありますし。
さらに、業界のルールは常に変わるので、再び高い成長をすることもなくはないのですが。
一つの答えは、変化に対応できる企業に行くということ、さらに、変化に対応できる人になるということですかね。
まぁ、これから伸びそう、いや伸びている業界や企業には人もカネ流れ込むわけで。
ただ、変化は激しいので、どう読むかが大事ですが。
実際、日本に上陸してすごい勢いで成長し、毎月数十人の採用をしたものの、あっという間に撤退モードという企業もありましたねぇ。
どことは言いませんけど。
いずれにせよ、今の視点で考えないこと、とはいえ先のことは分からないので、自分の目で確かめつつ変化することが大事ですね。
ガンコに変化しないということも、生き方の一つですが。
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執筆者プロフィール
常見陽平@yoheitsunemi
評論家北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。