社会人と学生の違いとは...?「お役に立ち、儲かる」という視点

2011.10.26  5626Views

こんにちは。常見陽平です。




a0001_011515.jpg




気づけば、自己中になっている




「社会人と学生の違いは何ですか?」


就活を始めたばかりの学生によく聞かれることです。


自由と責任など、様々な文脈で説明可能ですが、今回は「お役に立ち、儲かること」という点で考えてみたいと思います。


インターンシップのアウトプットに、グループディスカッションの発表、エントリーシートに面接...。


そのすべてにおいて感じるのですが、学生による提案や、やりたいことについては、若者ならではの熱や、ユニークな視点を感じて胸が熱くなることがあるものの、何か物足りなさを感じることがあります。


それは何なのか?


ずばり、ひとりよがりで、自己中なのですよね。
商売でやる以上、相手にとってメリットがないといけないわけですよ。


いくら「これはいいですよー」と言われたところで、何らかのメリットを感じないと買わないじゃないですか。
それとまったく一緒です。


また、それで儲からなくては意味がありません。
まぁ、この試算まで学生に求めるのは酷ですが、少なくとも「これは売れそう」「儲かりそう」という臭いがしなくてはいけません。




作品と商品の違い、そしてロマンとソロバン




いつもこの話をするのですが...、作品と商品は違うのですよね。


作品は自分の想いをこめて、スキルを活かし、作り上げるものです。


一方、商品というのは、値段分以上の価値があって(厳密には適切な価値があって)、売れるものでなければならないわけです。
ビジネスをするということは、作品ではなく商品(あるいはサービス)をつくり、売るということなのです。


そして、お客様の課題解決に役立つものでないといけないのです。


もっとも、顧客に迎合しすぎても無難なものになってしまいます。
そして、提供価値は常に陳腐化していきます。
常に価値を高めること、維持することに取り組まなければなりません。


これは『MBAコースでは教えない「創刊男」の仕事術 』(くらたまなぶ 日本経済新聞社)で学んだことなのですが、ものを考えるときは「ロマンとソロバン」が必要なのです。


最初はロマンモードで大風呂敷を広げ、その後ソロバンモードで本当にできるのか、儲かるのかを考える、と。




「お役に立ち、儲かる」ことはビジネスの基本であり、学生と社会人の違いです。意識してみましょう。


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。