キャリアセンターは「かわいそう」!?まず、行ってみよう

2011.10.18  2754Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。


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『大学キャリアセンターのぶっちゃけ話』って聞いてみたいと思いません?




先日、ある著者と対談しました。
大学キャリアセンターのぶっちゃけ話 知的現場主義の就職活動 (ソフトバンク新書) 』の著者、沢田健太さんです。
正体は...(ごにょごにょ)。いや、大学関係者さんでしたよ。


この本ですが、現状の就活で起こっていることがまとまっていて、面白いですよ。
いや、そういう本はたくさん出ているわけなのですが、大学教職員の立場から書いた本はこれまでなかったな、と。
立場上、なかなか本などで情報発信することができないのですよね。


ナビサイトが本格オープンする前に、ぜひ手にとってみてください。




私がキャリアセンターは「かわいそう」だと思う理由




仕事柄、大学のキャリアセンターにお邪魔する機会が多いのですが、
私は大学のキャリアセンターは「かわいそう」だと思っています。


何故ならば、就活の、いや、大学の、さらには日本の教育問題の矛盾を背負わされているのがキャリアセンターだからです。


大学全入時代(この表現はあまり好きじゃないのですが、まあ一般的な言葉なので使うことにします)の今、
大学は学生を集めることに躍起になっています。


就職がどうなっているかは、学生の、いや親の関心事です。


そのため、見栄えのよい就職実績を作らなければなりません。
さらには、入学してくる学生の質は実に様々です(質という言い方もあまりしたくないですが)。


彼らの就職先をどうするか、これは大学にとって、今、そこにある課題なわけです。


キャリアセンターと名乗るからには、「就職課」という領域こえて、
学生がいきいきとキャリア形成していくようなお手伝いをしたいとか、
学生と企業社会の橋渡しをするという理念はあるはずなのですが、
実際は目先の就職をどうするか、これに振り回されるという。


そして、「大学は勉強するところ」という正論から言うならば、
教授や一部の学生からキャリアセンターは目障りな存在となることも。


「大学を就職予備校化するのか!」という批判をもろに受けるのもキャリアセンターです。
いや、批判する人がまともな教育をしていて、適切な単位認定、そしてその学生をちゃんと就職させていたならば、より正論になるはずなのですが...。
いちいち気を使わなければなりません。
まぁ、大学職員はもともと教授や学生に気を使わなくてはならないのですが。


一方で、「就職予備校化するのか!」とたまに批判されるキャリアセンターですが、
中には、とても優れたプログラムを提供していることもあるわけですよ。


ひたすら考え抜かせ、議論をさせ、講師も充実...。
「今までの講義よりもずっと面白い」という評価になることも。
「どうせ就活対策だろ!」というかもしれません。
いや、プログラムをみてくださいよ。


足を棒にして社会調査に出かける、難しい本を輪読する、インタビューに出かける...。
大学の講義(特に演習など)とかぶる内容をやっていたりもするわけです。
大学職員からは「充実してきているので、逆に普通の講義とどう整合性をとるか」という悩みを聞いたこともあります。


でも、肝いりの企画を立ち上げても学生が集まらない...。


こんな悩みも抱えています。




まずは、覗いてみよう




就職先が決まらない学生はとことんサポートしなくてはならないわけですよね。
そういう学生に限って、キャリアセンターに行かないことも。
もっとも助けてあげたい学生ほど、キャリアセンターにやってこなかったりするわけです。
まぁ、就活が嫌になってやめてしまう学生、そもそも就活をする気がない学生もいます。
いろいろな思いがあるのでしょう。彼らを責めるつもりはありません。


逆に意識の高い学生wwwはキャリアセンターのイベントなどには参加せず、
外部の就活イベントに参加していきます。


中には「キャリアセンターに行くと、つっこまれるから怖い」という声も。
いや、彼らも悪気はないんですよ。考えてもらうために、そういう風に投げかけるわけですよね。


まぁ、大学にもよりますし、職員にもよりますが、キャリアセンターは一生懸命です。
面白い講演会などもいっぱい。まずは覗いてみますかね。


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。