ネットニュースの時代だけど新聞を読んだほうが良いワケ
2011.9.15 3119Views
こんにちは。常見陽平です。
新聞を読んだ方が良い理由とは...?
皆さんは新聞を読んでいますか?
情報はネットで手に入れる時代だと言われていますが、
それでも紙の新聞は読んだ方が良いと考えています。
今、日本の社会人が知っておくべき情報が凝縮されています。
情報を俯瞰することができるのもポイントです。
普通でPCやスマホ、タブレットの画面でニュースを追うと、興味のあるものしかクリックしないわけですが、
新聞ならひと通り眼を通すことができます。
もちろん、ネットニュースにも優れている記事はあるわけで、併読するわけですが。
最近、就職ガイダンスで講演するたびに学生に新聞を読んでいるかどうかを問いかけるのですが、
大学にもよるものの、だいたい5%~10%くらいですね。
逆に言うと、読んでいる人と、読んでいない人では大きく差がつくわけです。
新聞ごとに言っていることは違う、はず
ここで注目したいのは、同じニュースでも新聞ごとに書いていることは違う、はずだということです。
情報源と報道スタンスの違いからです。
情報源に関しては、記者クラブ制度により画一化することもあるものの、
各社が独自の取材をしている場合、当然、ニュースの種類、深さは変わってきています。
1面トップ記事を見ても、何日かに1回はどこかの新聞社がスクープ記事を報じます。
独自の取材によりつかんだネタというわけですね。
スクープではないにせよ、ある記事について報道するかどうかというのは各社のスタンスによります。
最近では、原発関連のデモ、フジテレビの韓流推しに対する抗議デモがありましたが、
これらを報じるか否か、どれくらいの扱いにするのかは各社により差が見られました。
特に新聞の違いが顕著なのは社説ですね。ここは各社の論説委員と呼ばれる人たちが担当し、
スタンスの違いが明確になる部分です。
例えば、これから原発をどうするかということについても、「脱原発推進」という考えから、
「一刻も早く原発を再稼働せよ」という内容のものまで実に様々です。
先日、ある新聞社の編集委員の方に飲みに連れて行って頂いたのですが、
その企業では「うちは脱原発でいこう」という意思決定をし、
その方針のもと紙面づくりをしているとのこと。
そう考えると、記事には客観性が期待されるものの、そもそものスタンスが違うのだから、
それを意識しつつも描き方は違ってきて当然です。
ちなみに、その編集委員によると、「広告収入ではなく、部数による収入が多い新聞は面白い」とのことでした。
一部の地方新聞がそうですね。
広告収入に頼っていないので、企業などの顔色を気にせず、好きなことを書きやすいとのことでした。
そのため、新聞を読む際はぜひ、図書館やキャリアセンター、喫茶店などを活用していくつかの新聞を読み比べてみるとよいでしょう。
その際、全国紙、ブロック紙、地方紙もそうですが、個人的にはスポーツ紙、夕刊紙もチェックしたいところです。
これらの新聞は大衆の視点を意識していて、庶民にとってどうなのかという観点を大事にしてくれているのですよね。
中には、全国紙が書かないスクープをさりげなく入れていることも。
芸能面や下世話なコーナーもありますが、これも庶民の考えていることを知るにはなかなか面白いものです。
「そんなに読み比べるなんて、無理」という人もいると思います。
まぁ、無理せずいきましょう。
まずは、どれかの新聞を毎日読むだけでも大きな一歩ですよ。
また、ネット系、モバイル系のサイト、ツールを併用するという手もあります。
この新聞は紙でも読むが、この新聞はネットというようにするわけです。
ちなみに、私は日経の紙+電子版のセットで購読し、紙で読むとともに、
電子版のメールサービスを活用して、自分の興味のある分野のニュースを逃さないようにしています。
また、Androidの無料アプリ「社説リーダー」というソフトを活用し、
各社の社説を読み比べるようにしています。
便利です。
よろしければ。
これから新聞を読み始め学生が意識したいコツ
では、就活をキッカケに新聞を読み始める学生が意識するべきポイントは何でしょうか。
覚えておきたいコツをまとめてみました。
■全部読もうとしない
新聞の文字量は、日経の場合は新書2冊分に相当します。
全部の文字を追うのはもともとパワーがかかることなのです。
コーナーにより優先順位をつけるようにしましょう。
最初は見出しだけを追うだけでも立派ですよ。
■1ページ目から最後のページまでの流れを意識する
新聞は1面トップ記事から後のページに流れていく構成になっています。
1面の記事をさらに詳しく次ページ以降で論じていく形式になっています。
また、1ページ目には目次があり、特に注目するべき記事が紹介されています。
この一連の流れを意識してみましょう。
■同じニュースを定点観測する
新聞は連続ドラマです。
あるニュースについて、その後どうなったのかを追い続けているわけです。
継続的にウォッチするというスタンスでいきましょう。
■特に雇用系のニュース、コラムに目を通す
最近は、雇用不安が増しているからか、雇用関連の記事が増えています。
これらはぜひチェックしましょう。
■広告もチェック
特に雑誌、ビジネス書の広告は、今、世の中は何に注目しているのかを読み解くヒントになります。
■人物に関するコーナーでテンションを上げる
日経で言うと、著名人のこれまでの歩みをまとめた「私の履歴書」、交友関係を紹介する「交遊抄」などは、
読むとテンションが上がるコーナーです。
他にも人物紹介のコーナーは多数。
ぜひ、チェックしてみてください。生き様を味わいましょう。
最後に
「就活のためには新聞も読まなきゃならないのかぁ」などと重く捉えないようにしましょう。
読むと楽しいものですよ。
時代と、世の中と向き合う勇気を持ちましょう。
執筆者プロフィール
常見陽平@yoheitsunemi
評論家北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。