『一方通行で「好き」と言われても...』中学生の告白みたいな志望動機はやめよう

2011.3. 8  9135Views

こんにちは、常見陽平です。


「志望動機が上手く書けない、言えない...」



こんな悩みを抱えている就活生とよく会います。

分かります。

企業の情報開示が情報の発信元の都合で作られた採用広告や会社説明会など限られている中、
さらには働いた経験もない中、「志望動機を言ってくれ」というのは本来、
酷な話ではあります。
個人的な意見ですが、「この企業で働きたい理由」という意味での志望動機は
少なくとも選考の初期段階では聞かなくてもいいのではないかと思っています。

前述した通り、就活生が納得してその企業で働きたいと思うような情報開示が出来たのか、
という疑問があるからです。

そもそも採用活動は、
企業側の論理でドライに言うならば「来たい人」ではなく「欲しい人」を採る行為です。
「来たい」という理由を上手く言えるだけで選んではいけません。

実際、志望動機を聞かずに選考を進める企業はあります。
もっとも、本人の「(その企業に限らず)働く動機」は確かめるべきだと思いますが。

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説得力のある志望動機は少ない...!? 





とはいえ、就活はすぐには変わらないわけで、
エントリーシートや面接では「志望動機」が聞かれるわけです。
学生の方は、志望動機を考えなくてはならず、悩むわけです。

そして、この「志望動機」なんですが、説得力のある話を聞いた試しがありません。

だいたい、志望動機として成立しているのが全体の2割、
その中で説得力のあるものは半分くらいですかね。

つまり、志望動機として成立しているものを言えている学生は1割弱しかいないわけです。



志望動機に足りないものとは?





何が足りないのでしょう?
そもそも感じるのは、「入社意欲」と「志望動機」を勘違いしている人が多いことです。
「この企業が好きだ」「この企業で働きたい」という気持ちが先行して、
「好き」ということを延々と語っているだけの人がいます。 さらに、「業界・企業説明」と志望動機を勘違いしている人も。


例えば、こういう志望動機です。
ややデフォルメしていますが。私たちの会社を受けるとするならば...


「御社は、人がイキイキと働くためのお手伝いをしています。
説明会で会った社長や、社員の方にも魅力を感じました。」


「なぜ、この企業で、この仕事をして働きたいのか?」という理由や、
「あなたが入社して、活躍できそうな理由」などが決定的に抜けているわけです。

まるで、昔の中学生の片想いの告白みたいです。
「○○ちゃん、前から可愛いと思っていたんだ。付き合わない?」
誰でも、こんなことを放課後の体育館の裏で告げられオトナになるわけですが...。

中学校時代ならともかく、20歳にもなってこう言われても嬉しくないですよね?
「表面的な部分しか見てくれない...」ということで、ひくわけです。
志望動機に話を戻しますが、
「なぜ、その企業なのか」「なぜ、その仕事なのか」という理由、
さらには「自分が活躍できる理由」「どんな成長をしたいか」
という理由を伝えたいところです。


また、「社員に魅力を感じた」という言い方にいつも首をかしげてしまいます。
社員のどこに魅力を感じたのか、その背景にあるその企業の強みや組織風土は何なのか。
ここにも触れて頂きたいところです。



そろそろ、中学生の告白みたいな志望動機から抜け出しましょう。

執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。