グループディスカッションで大事にしたい「前提構築力」

2011.2.22  3536Views

こんにちは、常見陽平です。


皆さんはグループディスカッションに参加したことがありますか?
おそらく、多くの就活生が1度は体験することでしょう。
今回は、グループディスカッションで大事にしたいことを書いていきます。


a0002_001422.jpg




採用する側にとって、グループディスカッションは必要悪?






採用する側にとって、グループディスカッションは
組織の中で発揮する行動特性、能力などを測定する手法です。


面接スキルが高くなくても、運営できるというメリットもあります。


就職ナビなどにより母集団が増加する中、
グループディスカッションは「大量の応募者をさばく」ために
「悪用」されているという見方もされていますが。


昨年の就活生によると、ある企業は8人で20分のグループディスカッションだったとか。
ネガティブチェックくらいしかできませんね。
まぁ、最近のグループディスカッションはこんなものなのですが・・・。


もっとも、グループディスカッションでは静かなトンガリ学生が埋没してしまわないかとか、
欲しい学生を口説くことができない、
あるいは優秀な学生が他の参加者を見てひいてしまうなどのデメリットもあります。


採用する側にとってもここは悩ましい部分ですね。






グループディスカッションを制する前提構築力




先日も、ある大学でグループディスカッション講座の講師をする機会がありました。
テーマは「優秀な社会人とはどんな人か?」でした。
あえて、漠然としていて、でも話しやすいテーマにしてみました。


どのチームも熱心に議論していたのですが、
中には「優秀な社会人とはどんな人か?」というテーマなのに、
「自分はどんな社会人になりたいか」
「理想の社会人とはどんな人か」という方向に話がずれていったことも。


村上春樹ではないですが「やれやれ」とつぶやいてしまいました。


グループディスカッションで大事にしたいのは「前提構築力」ですね。
テーマの意味、提示されている条件は何なのか。
さらには、自ら前提を設定していく行為が大切だと思います。


例えば、今回の「優秀な社会人とはどんな人か?」というテーマにおいては、
「誰にとっての優秀だろうか?」
「過去・現在・未来で優秀はどのように変化しているか?」
「業界・企業ごとの違いはどうなっているか?」
「人生のステージにおいてはどう変わるか?」
という視点を加えるだけで、
一気に議論は深く、説得力のあるものになります。
まぁ、与えられた時間や、求められるレベル感にもよりますが。





議論に入る前に、前提を自ら考え、構築すること。ここを意識してみましょう。


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。