「お客さんを笑顔にしたい」面接で気になる、激甘な表現はこれだ
2011.2.10 31846Views
こんにちは、常見陽平です。
弊社は今、模擬面接強化期間。毎週実施しています。
今年の就活生は昨年以上に、就活の進み具合の差を感じます。
選考の進み具合ではありません。
考えが明らかに甘い人と、現実を知っていてよく考えている人に大きく2極化しています。
正直なところ、企業社会のことをよく分かっていない自己PRや志望動機を聞くと、
首をかしげてしまいます。
面接で気になる、オトナ視点で考えると激甘な学生の言動をいくつかご紹介しましょう。
「お客さんを笑顔にしたい」
特に飲食店などでアルバイトをしてきた学生に多いですね。
「いつも笑顔を心がけ、お客さんを笑顔にしてきました。
入社してからも、営業として、お客さんを笑顔にしていきたいです」
なんてことを言います。
気持ちは分かりますが、これは営業のことをまるで分かっていない人の発言です。
営業とは、商品・サービスについて、活用法なども含めて考えて提案し、
顧客に価値を提供し、売上を得る仕事です。
優秀な営業担当者とは、顧客が価値を感じる提案ができる人であり、
会社から課せられた営業目標を達成できる人です。
お客さんに買ってもらって、値段以上の満足を感じてもらえる人です。
笑顔は対人コミュニケーションの上では大事ですが、
笑顔は素敵なのによい提案をしてくれない営業担当者は最悪です。
学生生活において相手が喜ぶことと、営業の場面で顧客が喜ぶことは違うことを意識してください。
「以前から憧れて」「幼い頃からこの商品が好き」「大好きな○○に関わりたい」
気持ちはよく分かりますが、職場としてどう思うのか、
入社後活躍してくれそうかどうかが気になるポイントです。
仕事の中身を理解できていて、そこで活躍できそうですかね?
そして、消費者視点での憧れ、好きだけで企業を選ぶことほど、危険なことはありません。
今年もまたそんな学生と多数会い、心配になっています。
未経験で世の中に出るわけですから、片想い状態の「好きなこと」をやるのではなく、
まずは肌の合った企業に入って、やったことを好きになる、
自分に向いていることが何かを探す方がよいのではないでしょうか。
「人に役にたつ仕事がしたい」「人と接する仕事がしたい」
このエントリーでも書きましたが、すべての仕事は人の役に立つ仕事です。
そして、たいていの仕事は一人ではできないものであり、
人との接点はあるものです。
人にどう役に立ちたいとのか、どのような人と接点を持ちたいのか、
自分の力はどう活きそうかを語ってくれたらまだ説得力がありますが。
「社員の○○さんが素敵だったので」
「説明会での社員の熱いトークに感動して」
選考活動に出てくる社員は、全員選ばれた人だということにまず気付きましょう。
魅力的で当たり前なわけです。
そして、「素敵」「熱い」は見事なまでの「空気語」です。
そう感じたのは具体的にどんな発言、エピソードからでしょうか?
「社員が魅力的だった」という学生は多数いますが、具体的にどう魅力的だったのでしょうか?
ぜひ考えたいところです。
「人の魅力」「ビジョン」などもそうですが、
その企業の強み(独自性・優位性)やビジネスモデルも意識して考えたいところです。
「ここなら、○○が学べると思いまして」
会社は学校ではありません。
あなたのエゴで考えないでください。
もちろん、仕事で成功するためには勉強も大切ですが、
それはあくまで仕事で成果を出すためのものであることを認識したいところです。
もちろん、面接は全体の流れで評価するので、地雷コメントをしたところで、
通ることもあります。考えが甘くても、優秀だと感じた学生は、
選考の過程や内定者研修、入社後に育てていくことはありますが。
オトナ視点で仕事を考えることも意識しましょう。
ではどうすればいいのか?
そう質問したい学生も多いことでしょう。
ヒントを提示します。
それは、「活躍したい」「成長したい」という視点で考えることです。
活躍して貢献できそうなこと、自分が成長できそうな理由(これも、活躍のためなのですが)
を考えてみてください。
お客様、評論家の視点ではなく、当事者でいきましょう。
執筆者プロフィール
常見陽平@yoheitsunemi
評論家北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。