「自分広告ワークショップ」から考えた自己PR7つの技術

2010.12.21  7241Views

こんにちは、常見陽平です。

ある大学で、「自分広告ワークショップ」の審査員をしました。
大学2年生が、自分の広告を創り、3分間~5分間でプレゼンテーションするというものです。
いわゆる、就活対策講座というものではありません。

その発表を見ていて感じたことは、自分広告をつくるためのプロセスは就活の自己PRとまったく同じことです。
学生の発表と、他の審査員も含めたフィードバックから感じた、「自分広告ワークショップ」から考えた自己PR7つの技術をまとめてみることにします。
 

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1.事実を棚卸しする


 
広告をつくるための材料をまずは棚卸ししましょう。
自分の強みや特徴と、それを物語るエピソードなどを棚卸しします。
これは、自分だけでなく、仲間と一緒にやるといいでしょう。
自分だけでは気づかない強み、エピソードというものもあるものです。

同様に、弱みなどについても情報を整理しておきましょう。



2.意味付けする


 
そして、エピソードに意味付けをします。
そこから何を言いたいのか?ということです。

非常に簡単に言うと、「この人を採用すれば得か?」ということです。

これをさらに分解すると、

「うちの会社で活躍できそうか?そのための能力がありそうか?」
「成長しそうか?成長する素質、成長するスタンスを持っていそうか?」
「タイプとして、ウチの会社に合いそうか?(ただし、ここはこだわらない場合も)」

などになります。

ちなみに、就活はついつい「すごい体験がないか?」という自慢大会だと捉えられがちです。

ただ、何の努力もしなくていいのかというとそうではありません。
「すごい体験」がなくて、内定が出た人も実は上記のような,
「この人、採用したら得だな」という証拠があったはずです。



3.コンセプトを考える


 
前提としてキャッチコピーとコンセプトは違います。
コンセプトは言いたいことの根本にあるものです。

自分とは何か。
言いたいことは何か。

自分の強みと弱みの対比、掛け算によってもこれは明らかになってきます。



4.空気語を使わない


 
「すごく」「多くの」「とても」など、一見もっともそうで、「それってどれくらい?」と突っ込みたくなるような、空気語は使うのはやめましょう。
まぁ、広告においては、敢えて様々な解釈が成り立つようにする手法もなくはないですが。
採用でのコミュニケーションは、自分についてのレポートです。
明確に表現しましょう。



5.盛らない、むしろそぎ落とす


 
『佐藤可士和の超整理術』(日本経済新聞出版社)で紹介されているコンセプトなのですが、広告表現とは実は盛っていくものではなく、伝えたいことを「あれもこれも」と取り出して、時には膨張させて盛っていくものではなく、むしろそぎ落としていき、提供価値を際立たせる行為です。

本当に言いたいことは何なのか?

むしろ削るモードでいきましょう。

誤解なきように言うと、ざっくりした表現で良いと言っているわけではありません。
また、複数のエピソードを言うなと言っているわけでもありません。
要は何を伝えたいのか、そのために言うべきことは何かを考えてみましょう。



6.解像度にこだわる


 
受け手は、アナタのことを鮮明にイメージできるでしょうか?

そのためには、その表現の解像度が高くなくてはなりません。
別に長く説明しろと言うわけではありません。
あなたがまるでそこにいるかのように、そして仕事で活躍しているかのように、表現できていますでしょうか?
そのためには、やはり自分を解像度高く捉え、適切な言葉で表現する必要があります。



7.「証拠」を明確にする


 
なぜ、そう言えるのか?証拠を提示しましょう。

テレビCMを見ても、「わぁ、美味しそう」とか「安心できそう」と思う食品は、産地が明記されていたり、アンケートの結果などが紹介されていたりするものです。
ここに気を付けないと「誇大広告」になってしまいます。

広告を創るということは、別に奇をてらうことではなく、言いたいことは何かを突き詰めて考え、表現する行為です。



今一度、自分とは何か。
何を伝えたいのかを考えてみましょう。


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。