「人の役に立つ仕事をしたい!」はそろそろやめよう

2010.12.14  29225Views

こんにちは、常見陽平です。
就活開始からまもなくすると、就活生は、そろそろ受ける業界・企業を絞ろうと研究を重ねていきます。

しかし、なかなか決まらず焦っている人も。



「人の役に立つ仕事をしたい」は軸ではない


 
「"人に役に立つ仕事をしたい"という軸で、鉄道系中心にみていたのですが、最近では食品メーカーなどでもそんな仕事が出来るということに気づきました。どうやって絞ればいいのでしょう?」
こんな声をよく聞きます。

冷静に考えてみてください。
これは「軸」でも何でもないのです。

「人の役に立つ仕事をしたい」という学生さんは、仕事の意味を全く分かっていないのではと感じます。
そもそも、すべての仕事は「人の役に立つ仕事」だということに早く気づくべきです。

仕事とは、価値の創出と提供により対価を得る行為です。
仕事には依頼主がいるわけで、その方に満足してもらわないといけないわけです。

公序良俗に反する仕事でない限り、すべての仕事は人の役に立つ仕事であるわけです。
(最も、その仕事ですら、依頼主の役には立つのですが)



一歩踏み込んで考えてみよう


 
そして、どの仕事においても、顧客、株主、社会、勤めている企業に貢献することを意識しながら進めるべきです。

「人の役に立ちたい」という方の中には、「直接、人と会って仕事をする」という意味でそう言っている人もいるかと思いますが、これもまた多くの仕事では何らかの形で人との関わりがうまれるわけなので、仕事をしぼり込むポイントにはなりません。

一歩突っ込んで、自分はどのような形で人の役に立ちたいのか、どんな役立ち方が向いているのかを考えてみたいところです。

その企業は、仕事は、誰に対して、何をして、どんな価値を提供しているのか?
その企業、仕事に共感できるのか?
自分が活躍できそうか?


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漠然とした「人に役に立ちたい」という想いをこえて、一歩踏み込んでみましょう。
 
 

執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。