上位校は本当に就活に有利なのだろうか?

2010.9.16  4923Views

こんにちは、常見陽平です。

今回は、上位校は本当に就活に有利なのだろうかというテーマでお届けします。

結論から言うと、特に初期段階の選考においては有利と言えるのですが、内定につながるかどうかというと、なんとも言えません。

そして、上位校ならではの高い期待がむしろ不利になってしまうこともあります。


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やはり上位校が有利なのか?


 
ある企業の社長から聞いた話です。

80年代前半に、学生2名が会社訪問のアポをとろうとしました。
当時は就職協定があり、企業と学生の接触は10月1日以降と定められていましたが、水面下での接触は行われていました。
都内の中堅私大に通う学生が会社訪問のお願いの電話をしたところ、5社かけてすべての企業が「協定があるのでダメです」と答えました。

ところが、同じ会社にその日に慶応義塾大学に通う友人がかけたところ、5社ともアポが取れたそうです。

前回書いたとおり、現在も上位校は会社説明会の予約が取りやすいなど、差別・区別はあります。

上位校限定のセミナーもあります。

大学名で切られるなどのリスクは少ないといえます。



変わってきている上位校への見方


 
ただ、現状はそうでもなくなってきています。

早慶の学生と会ってもESや適性検査など初期段階の選考が通らないという声はよく聞きます。
また、早慶と言えども、学生の質に対する不安はあります。
早稲田は約11000人、慶應も7000人弱いますから、学生は当然、そのなかでもパレート化(上位2割とその他8割で分化)します。

最近では、推薦・AO入試で入った学生への質の不安から、「大学にはどのようにして入ったのか」を面接で聞かれることが増えました。

そして、上位校学生は高い期待、基準で見られてしまいます。

「いまの本当に東大?」
などという会話は、学生が面接室を出た後によくされるものです。
高学歴だけで同質化することも懸念されます。

最近では、上位校の学生でも自分自身に自信が持てない方も多く、慶應生に無条件降伏している早稲田生、東大に同じ想いをいだいている慶應生、さらに「東大だから使いづらいと思われないか?」と悩む東大生はよくみかけます。

上位校には上位校なりの悩みがあるというわけです。


<参考記事>

企業が学歴差別をしてしまう7つの理由

学歴の壁を乗り越えるための5つのポイント


執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。