営業職について理解しよう
今回は営業職について詳しく書いていきます。
営業職って、お客様に提案する、というだけのイメージの方も多いのでは?
営業職を理解すると企業のことも理解できるので、営業を志望する方もそうでない方も一度確認してみてくださいね。
営業の役割とは?
営業の役割とは、「売上をつくり出すこと」です。
また、企業の代表として客先にいくので、企業の顔」としての役割もあります。
営業の流れとは?
一般的な営業の流れは、次のようになります。

■情報収集
営業はまず情報収集から始まります。
情報収集には2つあり、
1つ目は、営業先のニーズは何だろうか、課題は何だろうか、といった提案に必要な情報です。
2つ目は、アポイントを取るための情報です。
担当者の名前や在籍時間、連絡先、担当者の人柄等を調べます。
これらを元に、いつのタイミングでアポイントを取り、どのような話で提案しようかと考えます。
また、アポイントを取る営業先は様々な方法で調べます。
例えば、
・営業先の競合
・企業のHPから
などからニーズがありそうなところを探し、連絡先を調べます。
■アポイント取り
新規のお客様であればまずはアポイントを取ります。
アポイントを取る方法は、電話で行うケースが多いです。
また、飛び込みといったアポなしで訪問することもあります。
これまでも付き合いのあるお客様であれば、前回訪問した際にアポイントの日程を決めておくか、後日電話して日程を決めるなどします。
■提案・見積もり
アポイントが取れて営業先に行くと、提案資料を元に提案します。
みなさんが営業と聞いてイメージするのはこの場面かもしれません。
会議室に通され、営業がプレゼンテーションをするのがここです。
営業が一番コミュニケーション力(提案力・ヒアリング力)を発揮する場でもありますね。
提案は一度で決まることもありますが、ほとんどが複数回の提案を経て決まります。
収集していた情報が間違えていたり、もっと深く知ることが出来ると、提案を軌道修正する必要もあるからです。
提案するとともに、「このくらいの金額が掛かります」というものを見積もる、見積書も提出します。
見積金額は営業先との話し合いの中ですり合わせし、最終的な受注金額を決めていきます。
ちなみに、提案資料はパワーポイントかワード、エクセルで作ります。
営業が自分で作ることもあれば、営業事務の人が代理で作ることも。
■成約
提案内容に営業先がOKを出し、見積もり金額も了承を頂けたら、契約成立になります。
もちろん、ここで了承を頂けない場合は失注となります。
契約に関しては、契約書類を交わすこともあれば、口頭で受注確認をすることもあり、様々です。
■納品・提供
契約した内容に基づき、商品やサービスを客先に納品します。
受注・発注処理は営業マンが行うケースと、営業事務の方が処理するケースがあります。
受注・発注は、工場や倉庫に「これだけの数をいつまでに、どこに納品して欲しい」と依頼を掛けるものです。
物流会社とのやり取りや、納期確認なども仕事に含まれます。
■フォロー
一度成約頂いたお客様へのフォローは欠かせません。
納品した商品に何か不都合はなかったかという確認も行いますが、継続して成約するために、更なるニーズを聞き出すことも重要です。
また、使用してみてどうだったかを聞いて商品を作る部署へ情報提供することも大事です。
フォローを行わないと、お客様先との関係性が薄くなり、継続して受注することが難しくなります。
フォローを行って情報収集を行い、また提案へ繋げる...というループが営業の流れです。
営業に関して
■新規開拓と既存フォロー
上記にも記載しましたが、新規開拓と既存フォローの2つの手法があります。
新規開拓はその名の通り、新しいお客様を開拓することです。
新しいお客様を開拓することにより、売上増大が見込めるため、大半の企業は新規開拓に力を入れています。
既存フォローは、これまで1度でも取引のあったお客様へのフォローがメインになります。
継続して自社のファンになっていただくために、ニーズを汲み取り、提案をしていくことがメインになります。
新規開拓と既存フォローは通常並行して行われます。
企業によって新規と既存のどちらに重きを置くのかは異なりますが、
一般的に、
・新規開拓に重きを置く...成長産業にある企業、新しい販路を開拓したい企業、シェアを拡大したい企業
・既存フォローに重きを置く...成熟産業にある企業、成長路線よりも今あるお客様先を優先したい企業
と分かれるようです。
これから受ける企業はどちらに重きを置いているのか、OBOG訪問で確認したり、調べたりするもの企業理解に役立ちそうです。
■法人営業と個人営業
営業先は法人顧客と個人顧客の2つに大きく分かれます。
法人顧客は、企業(株式会社、有限会社、財団法人、社団法人等)に対しての営業。
個人顧客は、個人(一般消費者等)に対しての営業です。
法人営業はほぼすべての業界で存在します。
個人営業は、旅行代理店や不動産(販売、仲介)、ウェディング事業や生命保険、銀行、人材業界等で存在します。
■有形と無形
取り扱う商材は、有形商材と無形商材に分かれます。
有形商材とは、素材(紙、金属、ガラスなど加工する前のもの)、半製品(素材を加工し、組み立てる前のもの)、最終製品(電化製品、住宅、自動車などの完成品)等、形を有するものを指します。
主にメーカーや商社で取り扱うものです。
無形商材とは、広告やサービス(人材、コンサルティング、研修等)などの形がない商材を指します。
■担当する営業先数と納品までの期間
企業や商材により異なりますが、担当する営業先は、1社~数十社と様々です。
比較的、提案から納品までの期間が数年単位の商材を扱う営業は担当顧客が少なく、数日から数週間くらいの期間で納品が出来る商材を扱う営業は担当顧客が多くなる傾向があります。
■目標数値
いわゆる売上目標です。
ノルマという言葉でも表わされますが、この言い方だと悪い印象をお持ちの方も多いのでは。
営業には目標を設定されます。
例えば、年間1億2千万の売上目標を設定されるとします。
営業は、売上目標を達成するために計画を立てます。
月ごとに割ると1カ月1千万の目標で設定したり、売れる時期と売れない時期の差がある場合には、夏に売れる商品であれば6~8月の売上目標を高く設定し、逆に売れない時期の売上目標を低く設定して年間で売上目標を達成できるように設定します。
そして設定した目標へ到達するために、新規顧客を何件開拓しよう、このお客様からいくら受注しようなどの計画を立てます。
このように、売上目標は営業の行動を決めるために大切な指標です。
売上目標は会社が存続や成長するために必要な数値から割り出しているので、達成することが必要になってきます。
しかしながら、達成できないからといって罵倒されたり、クビになったり...ということは稀です。
もちろん自己反省と、どうすれば良くなるかの振り返りは必要ですが。
営業には、計画性も求められることを覚えておきましょう。
営業先はどこか?を想像しよう
営業先は様々です。
基本的には、「取り扱う商材のニーズが一番あるところ」へ営業を掛けます。
営業先を想像すると、営業のスタイルも想像出来ます。
どこの誰に営業を掛けるか、その人にどのように営業を掛けるのかまで想像すると、企業理解や志望動機・アピールポイント作成にも役立ちます。
例1)食品メーカーの場合
例えば、お菓子を製造しているメーカーがあるとします。
営業先の1つは、量販店です。
ただし、量販店といっても洋服や家電なども扱っているため、量販店の中でも食品部門でお菓子売り場を担当している人が訪問先になります。
量販店は、量販店を統括する本部もありますので、本部のお菓子の仕入れ担当にも訪問します。
本部へ営業を掛けるのは現場を熟知した30~40代の営業が担当することが多いです。
お菓子売り場の担当者へ、既に納品している商品の状況(売れているか、売れていない理由)を聞いたり、新商品の説明をしたり、商品をもっと売るためのPOP(販売促進のツール)を使ってもらうようにしたりします。
また、お菓子などの食品の場合、売りやすくするために棚割りという商品を並べる棚の一番いい場所を取る必要があります。
そのため、担当者と信頼関係を築き、新商品が出た際に"いい棚"の場所を確保してもらえるよう働きかけることも大事になります。
例2)部品メーカーの場合
少し分かりづらい例をあげてみます。
自動車のエンジン部品を作るメーカーがあるとします。
ここの営業先は、自動車メーカーです。
その中でも、自動車を開発する開発部の技術職の方が訪問先になります。
自動車の新製品を作る場合、2~3年くらいの時間を要します。
そのため、エンジンメーカーは製品の企画段階から入り、企画の変更と共に何度も設計しながら、一緒に作り上げます。
また、営業先から聞いた企画内容が自社で出来るかどうかの調整も必要ですので、自社工場や技術職との調整・交渉も入ります。
ほぼオーダー商品のため、細かい調整を重ねながら営業先と共に商品を作りあげていきます。
そのため、最初の提案から商品の納入まで年単位を要することが多いです。
例3)広告代理店の場合
無形商材の例をあげてみます。
広告代理店の場合、企業の広告・宣伝部の担当者が営業先になります。
広告に載せたい商品の訴求したいターゲットをまずは考え、そのターゲットに訴求する方法や響くコピーの作成、ターゲットが多く集まる媒体の選定、デザインの設計、最終的な目標まで計画を立てます。
また、使用したい媒体の広告枠を確保するため、媒体側へ連絡も行います。
完成した広告を媒体に掲載した後、目標に対してどうだったかを測定する効果測定を行い、広告効果を検証し、営業先へ報告書を提出します。
その報告書を元に、次回の広告はどのように実施するのか、再び提案を行っていきます。
営業の適性ってなんだろう?
一般的に営業に適性のある方は、コミュニケーションを得意としている方です。
ここでいうコミュニケーションとは、提案力、プレゼン力、ヒアリング力など、「相手のニーズを聞き出し、それに応えた提案が出来ること」です。
と言っても話が得意であるべきかというとそうではなく、あまりしゃべりが得意でなくとも製品知識を豊富に持っている方や、コツコツ地道に取り組む方で高い営業成績を出している方はたくさんいらっしゃいます。
相手のニーズを的確に捉えて提案が出来れば信頼を得ることが出来るからですね。
また、数字など目に見える形で結果が出ることに喜びを感じる方も向いています。
個人営業はお客様から直接反応があることに喜びに感じる方が向いているとも言われていますので、色々な営業スタイルを見て話を聞き、自身に合うものはどれかを見極めてみてください。
営業の仕事の範囲とは?
企画やマーケティングをやりたい方の話を聞くと、
「現場の声を商品に反映させたい」
「お客様によりよいものを提供したい」
という声をよく聞きます。
実はこれ、営業でも出来ることなんです。
営業は一番お客様に近い存在ですので、お客様の声を拾って商品開発部署に伝え、商品の改善や企画に役立ててます。
そのため、企画やマーケティングなどの部署は、配属前に営業現場を経験し、現場ではどういう商品が売れていて、お客様は何を求めているのかを知ります。
営業出身者が企画部門に行くこともしばしば。
人事などの管理部門も、営業出身者のキャリアパスの一つでもあります。
実際に営業現場は何を必要としているか知っているのもそうですが、人事で採用や研修に関わるには印象面の良さや円滑なコミュニケーションが求められるのも理由です。
営業はほぼすべての部門と関わってくる業務であることを知っておきましょう。
営業のやりがいとは?
営業のやりがいは人それぞれです。
お客様から感謝された、喜んでもらえたという方や、売上達成できた、全社で表彰された、など様々。
自分の頑張った成果が数字で表わされるので、達成感を感じる方も多いようです。
また、逆に大変だったことは、なかなか売上が上がらず苦労した、お客様からクレームをもらった、お叱りを受けた、などなど。
どの職種でもそうですが、壁にあたってもそこからどうすれば這いあがれるかを考え、行動することが求められます。
いかがでしたでしょうか。
少し長くなってしまいましたが、営業職への理解が深まればいいなと思います。
ご参考くださいね!