「クリエイティブ」「個性」なんて言っているうちは、就活生としてあまちゃんです

2014.1.20  2276Views

皆さん、こんにちは。常見陽平です。

a0008_001843.jpg

面接官に「わかってねえな」と思わせる一言とは?


毎年、就職活動をする学生をウォッチしているわけですが、就活の初期段階である今の時期によく遭遇するのは、「一生懸命頑張っていて、本人は真面目に考えているのだけど、実際はわかっていない学生」です。
意識の高い学生(笑)とは少し違います。
自己顕示欲などが強いわけでもなく、真面目な学生生活を送ったタイプです。
彼らなりによく調べているつもりなのでしょうけど、ちょっとずれているというか、もっというとわかっていないなあと思うわけです。

意識高い学生(笑)のように、周りで見ていて痛いなと思ったり、うざいなと思ったりすることはありません。無害です。
ですが、彼らが納得のいく進路選びが出来るかな、自分のことを企業に売り込めるかな、という点で心配になってしまうのです。
より具体的な話をしますね。象徴的なのが、「クリエイティブ」「個性」という言葉を使う学生です。
使っている就活生の皆さん、自分はズレていないか、今一度確認してみましょう。


1.「クリエイティブ」という言葉を連呼する学生

昔も今も、「クリエイティブ」という言葉を使う就活生は、業界・企業・職種研究を「真面目にやってそうだけど、実はしていない」人です。
「クリエイティブな仕事をしたくて、広告業界を志望しました」なんてことを言い出す人です。
しかも、創作活動をしていたわけでもないのに、です。
「クリエイティブ」という言葉を使う就活生は、いわゆるルーチンの仕事が嫌いだと思っていたり、仕事をなんでもやらされるのが嫌だと思っていたり。
でも、よくよく調べると、正社員の仕事は、何かをつくりだす要素があるわけで。

また、「クリエイティブ」な業界だと彼らが思っている広告やマスコミは、何かを作り出すために、泥臭い努力を行っているわけです。
そもそも、「クリエイティブ」と言いつつも、それは何か課題を解決するものだったり、お金になるものなわけで。
だから、この言葉を連呼する人が避けたいなと思っている普通の営業の世界と、実はあまり変わらなかったりすることも。
この言葉を連呼しているうちは、業界・企業・職種研究をしっかりしていないなあという印象を持ってしまいます。
しかも、クリエイティブなんて言うわりに、センスをまったく感じなかったりするので残念なわけです。


2.私の個性を活かして仕事をしたい

「個性」という言葉を連呼する人がいます。
私も、個性は大事ですし、尊重するべきだと思いますので、そこは否定しません。
ただ、「私の個性を活かした仕事をしたい」なんてことを言う人は、肝心の「私の個性」をわかっていないのですね。
「個性」というのは、「個性」という言葉を使わずに説明するべきものなのです。

この2つの言葉を連呼しているうちは、志望先企業が偏ってしまったり、自分の強みが伝わらなかったりして、なかなか残念なのですね。

仕事の仕組み、流れを知るという就活の基本を忘れずに


別にクリエイティブという言葉や、個性を否定しているわけではありません。
ただ、逆にその言葉にとらわれすぎてしまうのもどうかと思うのです。
そして、クリエイティブや個性という言葉を使う割には、業界・企業のことや、自分のことを知らないという。これは残念だと思います。

まだ就活は始まったばかりです。
ぜひ、OB・OG訪問、企業説明会などを通じて、仕事の仕組み、流れを知ってください。
意外に、普通の企業においても、クリエイティブ(だと言われる仕事)の要素があったりしますし、個性は普通に尊重しているものですよ。
クリエイティブ、個性という言葉を連呼している時点で、企業社会を大きく誤解していることにまず気づいてください。

最後にお知らせ。
実に久々に就活生向けイベントをやります。
しかも、TBSラジオ文化系トークラジオLife関連のイベントです。学生向けセミナーは実は久々かもです。
他の出演者がなんせ豪華なので、ぜひ、ご期待ください。有料ですが、その分の値打ちはあると思いますよ。

★★★文化系トークラジオLife トークイベント「あなたの知らない仕事論」★★★


文化系トークラジオLife恒例の隔月イベント、2014年1発目は「就活」「働き方」「仕事論」をテーマに据えて、熱いトークを展開します。ブラック企業の職場で米を炊き、他の社員に売りつけていた元ブラック社員・海猫沢めろん先生が繰り出す「意識薄い系」の仕事論、修士論文を終えたばかりの常見陽平があらためて問い直す「普通の働き方」など、これまで聞いたことのないような仕事論が飛び出すこと必至!参加者からの就活相談、働き方相談にも、出演者が直接お答えします!


【イベント詳細】

文化系トークラジオLife トークイベント「あなたの知らない仕事論」

●日時:2014年1月26日(日) 14:00~16:30 (開場13:30) ※終了後に交流タイムを設けます
●会場:紀伊國屋書店新宿本店8Fイベントスペース
●参加費:1500円  ※イベント当日にお支払いいただきます。
●出演:速水健朗、斎藤哲也、常見陽平、海猫沢めろん、西森路代、長谷川裕ほか


●ご予約:1月19日~
店頭およびお電話にてご予約を受け付けます。
※ご予約は紀伊国屋書店新宿本店3Fカウンターにて受け付けます。
※3F直通電話番号03-3354-5703
●定員:40名
※定員数に達しましたら受付を終了させていただきます。

【出演者紹介】
●速水健朗(はやみず・けんろう)
1973年生まれ。フリーランスとして、雑誌や書籍の企画、編集、執筆などを行う。主な分野は、メディア論、消費社会論、都市論など。著書に『自分探しが止まらない』『ラーメンと愛国』『都市と消費とディズニーの夢』など。

●斎藤哲也(さいとう・てつや)
1971年生まれ。フリーの編集者・ライター。人文思想系、社会科学系の編集・取材・構成を数多く手がける。編著に『読解
評論文キーワード』『使える新書』など。編集・構成に『現代思想入門』『国際貢献のウソ』(伊勢崎賢治著)など多数。


●常見陽平(つねみ・ようへい)
1974年生まれ。評論家。雇用・労働、キャリアなどをテーマに調査・研究、執筆、講演に没頭中。一橋大学大学院社会学研究科修士2年に在学中。著書に『普通に働け』『「意識高い系」という病』『僕たちはガンダムのジムである』など多数。


●海猫沢めろん(うみねこざわ・めろん)
1975年大阪生まれ。文筆家。デザイナー、ラジオドラマ脚本など、様々な職を経て、『左巻キ式ラストリゾート』にて小説家デビュー。著作に『愛についての感じ』『全滅脳フューチャー!!!』『ニコニコ時給800円』など。

●西森路代(にしもり・みちよ)
1972年生まれ。OL、台湾アイドル雑誌編集やアジアがテーマのラジオ番組のディレクターを経てフリーランスに。日本をはじめ香港、台湾、韓国のエンターテインメント全般と女性について執筆中。著書に『K-POPがアジアを制覇する』『女子会2.0』(共著)など。


●長谷川裕(はせがわ・ひろし)
1974年、東京都生まれ。「文化系トークラジオLife」プロデューサー。早稲田大学卒業後、97年TBS入社。2001年からTBSラジオでディレクター

執筆者プロフィール

常見陽平

常見陽平

評論家
北海道札幌市出身。一橋大学商学部卒業。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了。
リクルート、玩具メーカー、クオリティ・オブ・ライフ(現在:フェロー)を経てフリーに。
雇用・労働、キャリア、若者論などをテーマに執筆、講演に没頭中。
2015年4月 千葉商科大学に新設された国際教養学部の専任講師に就任。
著書多数。